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人との繋がりが拡がりを生む ~多気町の若き経営者の挑戦~

稀少な若い就農者
 多気町の田口翔さん(36)は、農業法人である株式会社百翔園(ルビ:ももかえん)の若き経営者。多気町弟国地区などで、米などを栽培されています。19歳の時に鈴鹿市の農業法人で働き始め、転職した津市の農業法人社長との出会いが、その後の人生を方向づけていくことになっていきます。「若い就農者は稀少なので、厚待遇でしたね。居心地が良かった」。
就農で独立
 祖父が残した田を引き継ぐことを決めた田口さん。お父様が会社員なので「これくらいなら自分でできるかと」。そして25歳の時に多気町とJA多気郡の担当者から就農の勧誘を受けたそうです。「当時は新規就農者を育成しようという気運が高く、多気町在住ながら津市で農業に携わっている若者がいるという情報が伝わり、地元での就農を勧めようということになったのでは」。新規就農者支援金制度や、農業法人社長の勧めもあって、それならと独立を決めたそうです。

情報活用と新し物好き
 「当初は厳しかった」。すぐに収益も上がらず当初はアルバイトも。独立して2年が経過した頃に、知人の誘いで4Hクラブ(農業青年クラブ)に参加、若い就農者の輪を拡げていきます。月1回の会合でメンバーの栽培方法等の情報がどんどん入ってくるようになり、いくつか新規挑戦したことも。また、農業法人社長をはじめ、多気町以外で培ったネットワークの情報はかなり有効的で、地元だけでは知りえないものも多く「社長には辞めてからも気にかけてくださって本当に感謝しています」とも。平成30年には税理士の勧めもあって法人化を決め、今では3名のアルバイトを雇用する規模にまで成長されました。
若者に就農を目指して欲しい 
 「お米以外に麦、大豆、そして昨年からはごまを栽培しています」。2023年のふるさと納税額が3倍以上に急増した四日市市。その看板商品である九鬼産業のごま油。老舗の同社もごまを栽培する生産者育成が急務で、説明会に参加した田口さんは、ごま栽培用の機械が無料で借りられることから栽培を決めたそうです。「若い就農者の需要は多い。私の住む地区でも担い手を引き受けると、引退を決めた高齢就農者から感謝されるのが嬉しい。就農を目指す若者がひとりでも多く増えて欲しい。それにはまず自らが着実に経営していくこと」。農業の自由さを謳歌する田口さんの姿に惹かれる若者が、やがて現れるのではないでしょうか。

Photo:多気町 田口翔さん 2024.7

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