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先祖代々の農地を守っていく価値

 令和4年4月、20歳の若者が大台町で家業の茶畑を継ぐために就農されました。今号では、お茶づくりで貢献を続ける西村製茶の西村さん親子にお話しをうかがいました。

大台町でお茶の栽培を営む西村光弘さん(56)と長男の一馬さん(20)。父の光弘さんはお茶の生産農家として3代目になります。「ご先祖様から引き継いだ大切な農地を守っていくのが私の使命です」と語る光弘さん。かつては牛やヤギの飼育のほか、野菜やお米、ミカンなど多岐に渡って生産をしていましたが、今は親族から譲り受けた製茶業が中心となっています。

光弘さんは東京の大学で農業気象学を専攻、また「貴腐(キフ)ワイン」という最高級品の製造をぶどう栽培実習で行うなどの研究を経て、卒業後すぐに家業に入ります。当初は大学で学んだことが実作業に活かされず悩んだことも。年数を重ね、周囲から評価を受けていくうちに「ようやく自信が持てるようになった」と語ります。また、同業仲間と共にJGAPの取得や、日本茶インストラクターの資格も取得するなど生産者としての高い意識を持ち続けています。
4代目となる一馬さんは高校進学時に家業を継ぐ意思を固め、相可高校生産経済科へ進学、卒業後に三重県農業大学校でお茶を専攻し、2年間学びます。当初は4年制大学も視野に入れていたそうですが、充実した実務の同校を選んだとのこと。詳しく丁寧に書かれた教科書を見て「良い進学先だった」と父の光弘さんは振り返ります。一番茶の収穫が4月末から5月末。続けて2番茶の収穫も7月上旬まで続くなど、4月から就農した一馬さんは、すぐに多忙な作業に没頭していきます。自然に対する探究心も旺盛で、畑の雑草を撮影しスマートフォンで調べるなど今時の若者の一面も。「今は父や母の指示で動くことが多いですが、肥料設計や製造方法など自分で判断できる自立した生産者になることが当面の目標です」。
農業大学校時代に共に学んだ自身と同じ境遇の製茶業を継いでいく仲間と今でも連絡を取り合っている一馬さん。先祖代々続いてきた農地を絶やしてはいけないと語る傍ら「僕ら世代の若者が一人でも多く就農者となり、農業を発展させるためにも、まずは自分が頑張らないと」と就農僅か数ヶ月ながらも力強く語ります。将来性のあるこの逞しい若者をJAは全力でサポートしていきます。

Photo:大台町 西村 光弘さん 一馬さん 2022.08

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