伊勢いもづくりに生涯を懸ける ~伊勢いも品評会で金賞受賞~
多気町の特産品である人気の伊勢いも。30年に渡って開催されている伊勢いも品評会において幾度となく受賞され、令和元年度の品評会でも金賞に称えられた角谷孝夫さんに、伊勢いもづくりへの想いを語っていただきました。
昭和7年生まれの角谷さんは今年で88歳。小学校高学年の頃から農作業を手伝ってきたそうですから、キャリアはなんと70年以上。当時の先生が、家業を手伝うその姿に感嘆し、表彰されることになり「朝礼の時に全校生徒の前で檀上に登ったかな」。そして学校を卒業後、農業に従事していきます。
伊勢いもは他の農作物よりも収穫までの期間が長く、苦労も多いそうです。最も欠かせないのが「芽かき」と呼ばれる作業とのこと。これは種芋1つに対して大きく育つであろう太くて良いツル1本に仕立て、その他の細いツルを根本から取り除くことで栄養分を集中させる作業です。また、角谷さんいわく美味しい伊勢いもづくりのポイントとしてアクの少ないものを育てることが重要なのだそうですが、アクが少ないと逆に腐りやすいという欠点があるため「本当に神経を使います」と角谷さんは語ります。
「伊勢いもは人間の子どもと同じ。美味しいものをたくさん食べさせてあげることで大きく育つ。そして美味しいと思える環境を整えてあげるのが私の仕事」。毎日、畑へ出向き、日々の変化に神経を尖らせています。まるでわが子のような感覚で伊勢いもを見つめているようです。
「伊勢いも栽培は生きがい。主人にとって人生そのものなのですよ」と語るのは、奥様のきぬへさん。夫婦二人三脚で支え合ってきたからこそ、ご高齢となった今でも現役で活躍し続ける原動力なのかもしれません。どんな食べ方が好きですか?の問いには「三杯酢で和えるのが好きかな」。いつまでも末永く、上質な伊勢いもを作り続けて欲しいですね。
Photo:多気町 角谷 孝夫さん 2020.10