伊勢茶の生産を継承
大台町の特産品、伊勢茶。かつては大台茶と呼ばれ、その歴史は古く、室町時代から江戸時代にかけて伊勢商人が日本中に広めたと言われているほか、文禄3年(1594年)に茶を年貢として納められていたという記載もあるほどです。しかし近年は後継者不足等の影響で、生産量も減少傾向にある中、大台町で伊勢茶生産に想いを懸ける遠藤宏明さんと真奈美さんご夫婦にお話しを伺います。
【大阪から移住】
大阪出身の宏明さんは、実家で伊勢茶を生産している奥様の真奈美さんとの結婚を機に農家になることを決意、移住します。「楽しそうなというか、期待感の方が強かった」と語る宏明さん。笑顔で語るその表情は、生産者の雰囲気そのものです。
【互いに感謝】
幼少の頃から伊勢茶に慣れ親しんでいた真奈美さんは「最後まで手を抜かない探究心の強い性格で、生産者に向いていると感じています。力仕事を率先して代わってくれたりなどの気遣いにも感謝しています」と優しく微笑みながら語ります。
また、宏明さんは「妻は精神的に辛い時などさりげなく気遣ってくれる優しさに感謝ですね」と穏やかに語ります。
【伊勢茶に懸ける】
真奈美さんのご実家は大台町の大西製茶で、実父の大西英夫さんは生産歴47年のキャリアを持つ伊勢茶のスペシャリスト。数々の表彰実績など、永きに渡り伊勢茶生産に貢献されてきました。その伝統を引き継ぐ宏明さんは「手を掛けた分、良いお茶ができると思います。その時期に対処しなければいけないことをこなしていく大変さがありますね」と宏明さんは語ります。
【豊かさを育む】
栽培したお茶を揉機で袋詰めにして、自社ブランドでも販売されている遠藤さんご夫婦。「みなさん、美味しいお茶を味わってくださいね」。伊勢茶を育む大台町の豊かな土壌は、この地に住む人たちの心の豊かさをも育んでいるようです。
Photo:遠藤宏明さん・真奈美さん 2017.12