第44回日本農業賞三重県代表に農事組合法人丹生営農組合が受賞
【日本農業賞三重県代表】
多気町の農事組合法人丹生営農組合が第44回日本農業賞三重県代表を受賞しました。同賞は日本農業の確立を目指して意欲的な活動を行い、地域社会の発展等に貢献している団体などを表彰し、NHKやJAグループの媒体を通じて地域住民への理解と国際競争力のある農業の実現を目指しており、年1回、各都道府県から代表が選出されるものです。
【丹生営農組合を設立】
丹生営農組合のある同地区の水田地帯では、昭和50年頃から主にタバコや秋冬野菜体系による転作が取り組まれていましたが、昭和62年から実施された県営ほ場整備事業が契機となって、平成2年に丹生農用地利用組合(当時)が設立されました。当初は同地区内の2戸の担い手による小麦の集団転作から開始しましたが、後に水稲作業にも展開、組合を介して地区内の担い手に全作業を委託する利用調整も始まりました。平成16年には約100戸による大豆生産組合を設立。平成18年、2戸の農業者による小麦生産と大豆生産を一本化した特定農業団体「丹生営農組合」が設立されました。法人化を目指す際にJAグループの指導も受けやすい「農地組合法人が最も良いと判断しました」と語る同組代表理事組合長の中村豊實さん。これには地域の人たち全員の同意が必要でかなり時間を要しましたが「やはりこの集落には一番適している」と当時を振り返ります。
【積極的な地域との関わり】
地域との関わりも積極的に行われています。地元の自治会や保育園・小中学校、老人会や青少年育成町民の会などの環境教育活動を始め、図書館を通じた社会教育活動などその関わりは多岐に渡ります。中でも農業法人せいわの里をはじめとする組合生産に関わる連携は、中軸的な活動となっています。せいわの里が運営する「まめや」は、農村料理を中心に提供されている施設で豆腐やみそといった大豆加工が行われており、学校給食にも使用されています。その消費量に対応するため、大豆コンバインを導入することで作業性を高めニーズに応えています。また、地域活性化施設である「ふれあいの館」を運営する地元企業の川原製茶との新商品開発なども行われています。その他、新たな取り組みとしてしょうが栽培を展開、付加価値の高い「金時生姜」を生産・独自加工をすることにより、高い収益性とブランド化を図っています。この金時生姜は伊勢の老舗菓子店へ出荷されるほか、佃煮などのオリジナル加工品としても展開しています。
【後継者を育てたい】
「多気で活躍する後継者を育てたい」。平成26年に若手職員を採用したほか、今年は農業研修生の受け入れも予定されています。丹生地区はかつて伊勢街道の宿場町として栄え、丹生大師の参拝客で賑わうなど歴史の趣が深い町。この静かな山間の町に、いにしえの賑わいを取り戻すような活気を、集落みんなが期待しているようです。
Photo:中村豊實代表理事組合長(前列左から2番目)と職員のみなさん 2015.02