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農業は楽しい

 「マイペースで仕事のできる農業は実に楽しい」と語る多気町の佐藤剛さん(41)。伊勢いもや白ねぎを計3反の畑で栽培している新規就農者です。元々は三重県北部の川越町ご出身で、大学・大学院と機械工学を専攻、就職は業界最大手のひとつである機械メーカーへ。約10年間、機械設計の仕事に従事されてきました。仕事には特に不満はなかったものの、組織で働く窮屈さを徐々に感じ始めて転職を意識するようになっていったそうです。
 「小学生の頃、ひまわりの種を蒔いて、花が咲くまで育てた体験が楽しかった」と語る佐藤さん。この記憶が契機となり、転職先として農業を考え始めました。

大阪など大都市で開催される“農業人フェア”などのイベントに参加、三重県からは多気町がブースを出展しており、いろいろと話しを聞いたほか、他にも様々な農業従事者募集イベントに参加するなどして、新規就農への意思を固めていきます。多気町の担当職員から、未経験のまま就農するのではなく、基礎を学んでからの方が良いと三重県農業大学校で学ぶことを勧められ一年間通学。三重県の中でも、地元伝統野菜の継承に力を入れている多気町への移住を決意、同大学校を卒業後、もう一年間JA多気郡の子会社である(株)多気郡アグリサポートでも実務を学び、圃場探しも同時に行なうなど、就農準備を進めていったそうです。
 「伊勢いもは、殆ど出荷できなかった」と悔しそうに語る佐藤さん。令和3年の就農初年度、同時に栽培を始めた白ねぎはなんとか出荷にこぎつけたものの、伊勢いもの栽培にかかる労力の大変さ、手作業が大部分を占める現実を突き付けられることに。また、獣害にも悩まされ、電気柵の設置など対策も行なってきました。残念ながら伊勢いもは2年目も不作で、3年目となる今年、ようやく出荷できる見通しが出てきたそうです。
「白ねぎを植えている間、伊勢いもの除草時期と重なってしまい、上手く両立ができなかったことが反省点ですね」。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、中止となっていたJA多気郡の伊勢いも部会や白ねぎ部会総会へも今年から参加するなど、ネットワークづくりにも動き出した佐藤さん。当面の目標は「毎年、安定的に収穫できるようにすること」。これまでも地元の産官学が協調し、伝統野菜として保存継承していこうと位置付けられている伊勢いも。その志を引き継ぐ佐藤さんの挑戦はまだ始まったばかりです。

Photo:多気町 佐藤 剛さん 2023.10

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