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農家を脈々と続ける ~苦楽を分かち合う中井さん親子~

 たくさんの方が待ちわびる新米の季節。今回は、おいしいお米を中心に栽培されている多気町の中井さん親子に生産者としてのやりがいなどを伺いました。

 法夫さん(64)は、20歳の頃から農業に従事、お父さまがみかんを栽培されていたこともあり「自分も当然継ぐもの」と進まれたようです。当初よりみかん以外の稲作や麦栽培などにも注力していきます。一方、正法さん(30)も高校卒業後に三重県農業大学校へ。在学中、オーストラリアのファームステイに参加し、手厚い歓迎に衝撃を受けます。「日本人の僕を優しく受け入れてもらい、生産者とはどうあるべきかを刻み込んだ体験でした」。

 中井さん親子の圃場はコシヒカリ栽培のほか、養鶏会社へ卸す飼料米などが生産されています。これには多気町の支援もあり、他の生産者と共に卸業務を拡大、平成18年頃に現在の栽培スタイルになっていきます。「加工用米の地元飼料会社は自分たちで開拓し、道筋をつけてから役場の支援を仰ぎましたね」と語る法夫さん。収益を確保するためのご苦労が垣間見えます。
 令和3年、多気町に新しくオープンした話題の大型リゾートスポット「VISON」。ここでも中井さん親子の手掛ける酒米が期待されています。3年ほど前から酒米を卸しているみりん製造企業がVISON内に進出するほか、同エリアで販売中の日本酒に使用される酒造好適米「神の穂」の栽培にも力を入れています。また、正法さんは3年ほど前からオリジナルみかんジュースの製造に着手、昨年は600本を完売します。「熊野市の業者に製造委託し、道の駅等で販売しました。ふるさと納税の返礼品にも採用され、遠く北海道や沖縄のお客様へ商品が届くことに感激しています」と笑顔の正法さん。また、「農業もジュースも、ご先祖様が植えてくれたみかんの木もそうですが、多くの人たちや自然の恵みに支えられていることに感謝です」。
 「圃場を常に清潔に保つこと。この当たり前のことを継続していくことが大変」と語る法夫さん。苦労を厭わない父の背中を尊敬の念で追いかけてきた正法さんは、まだまだ自分の力だけではこの圃場を維持していくことは難しいと感じているようですが「父が万一の場合は自分が何とかします」との決意も。成長した息子に優しく微笑む法夫さん。いま、農業を取り巻く環境は後継者不足が深刻化しており、父親譲りのチャレンジ精神を脈々と受け継ぐ正法さんのような若き生産者が数多く登場することに期待が寄せられています。JAではこれからも次世代生産者を応援して参ります。

Photo:多気町 中井法夫さん 正法さん 2021.09

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