三重の家族農業 ~農業に生涯を捧ぐ~
国連は2019年~28年を「家族農業の10年」に決定、また、2020年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画においても家族経営の重要性が示されています。今号では「三重の家族農業」をテーマに、明和町で就農されている杉木さんご夫妻をご紹介いたします
平成18年、杉木麻人さん(38)は、当時JA職員だった学生時代の先輩に就農を勧められ、小竹行哉氏(前JA多気郡理事)が代表を務める農業法人を紹介されます。その際“自分は農業に生涯を捧ぐべき”と、直感的に感じたそうです。入社後は様々な農作業を徹底的に叩き込まれていきます。
平成26年に独立就農を果たすのですが、入社時に「将来は独立したい」との意向を伝えていたとのこと。8年が経過し、ついに代表から独立を促されます。「将来のことも配慮していただき、今も感謝しかありません」と語ります。
平成26年にはご結婚も。就農経験の無い妻の摩育さん(28)と共に歩み始め、繁忙期には父母にも手伝ってもらうなど家族農業のスタイルを確立していきます。「家族経営の良さは、助け合いがしやすいところですね」。また、新たな農作物の栽培をJAの浦田営農指導員に相談したところ、摩育さんが主体であればと、ナバナ栽培を勧められました。「畑仕事は好きですよ。除草作業は大変ですが、きれいになるのが嬉しい」と笑顔の摩育さん。麻人さんの祖母も永年ナバナを栽培されていたそうで「高齢で離農していますが、ナバナの事なら関わりたいはず。今も元気です」。
「他の農業従事者はどんな取り組みをしているのか」。麻人さんは、明和町主催の次世代農業者意見交換会などに参加され、そこで得た知識なども取り入れていきます。また、ベテラン農業従事者が、ご高齢ながらもっと良い栽培方法はないのかと常に模索していることに驚かされます。
麻人さんは「もっと付加価値の高い栽培方法に取り組みたいですね」と今後の展開を掲げます。販路の拡大や6次産業化検討中で、夫婦間で役割分担しながら、将来を見据えます。この取材が就農を決めた頃の記憶を呼び戻したようで「23歳の自分に、選択した道は間違ってなかったよと褒めてやりたい」とこれまでの軌跡を辿りながら語る麻人さん。素敵ですね。益々のご活躍を祈念しています。
Photo:明和町 杉木麻人さん 摩育さん 2021.01