価値ある経験を積み重ね
【夫婦で継承】
多気町で米や麦、白菜などを複合栽培している大西敏彦さん(42)は就農7年目。妻のエリさん(39)と両親の4人で約33haの農地を管理し「前川次郎柿」の出荷が終わる12月まで忙しい日々が続きます。
敏彦さんは以前、大台町の福祉施設で介護福祉士として15年間勤めていました。エリさんは敏彦さんの働く施設に実習生として訪問し、仕事のことを学んでいくうちに距離を縮め、2002年に結婚されたそうです。両親は昔から農業を営んでおり、もともと定年後は実家で就農しようと心に決めていたとのこと。
「手伝いでの農業ではなく、早く就農して父からたくさん農業の事を学びたいという思いが強くなり、前の仕事に区切りをつけた」と語る敏彦さん。夫の決断に最初は不安もあったエリさんでしたが、両親がしっかりした土台を作ってくれていたこと、またひたむきな敏彦さんの熱意に答えたいとの想いが強くなり一緒に農業の道を歩んでいくことを決意されたそうです。
敏彦さんが就農して米と麦の栽培面積を増やし、新たに大豆と白菜の栽培も拡充。ナバナは敏彦さんとエリさん2人で栽培し、エリさんは収穫と袋詰めをサポートされています。「二人で手の届く範囲の面積で栽培し、質を維持しています」。3年前に法人化し、農地の管理や栽培から出荷までは敏彦さん、エリさんは事務作業などで、敏彦さんをサポート。「家のことや仕事のことも、きちんとしてくれすごく助かっています。妻の存在は心の支えですね」と敏彦さん。エリさんは「規模を大きく広げ、真面目に頑張っている敏彦さんに感謝しています」と語ります。
敏彦さんは「まだ知識が足りなくて父に頼るところもありますが、父が積み重ねてきた農業の知識を守りながら、よりおいしい農作物を作れるよう努力していきたい」と意気込んでいます。
Photo:大西敏彦さん・エリさん 2017.11