美味しいイチゴを作りたい ~未経験からの挑戦~
イチゴ生産者として
多気町相可の小童谷知樹(ひじやともき)さん(40)は、イチゴ栽培を手掛ける新規就農者。令和6年4月に自立したばかりですが、日に焼けた風貌はすっかり生産者のお顔です。
自衛隊員からの転身
大阪ご出身である小童谷さん。元自衛隊員。学卒後、伊勢市明野駐屯地に赴任し約17年間勤務されました。11年前、ご結婚を機に「妻の実家がある多気町に新居を構えましたが、他府県への長期出張や山中での滞在訓練、被災地への派遣など家を空けることが多く、家族と過ごす時間も限られていた」。ご自身の体調不良もあり転職を考え始め「義父が稲作農家だったこともあり農業も良いかなと」。思い立った小童谷さんは早速、多気町役場へ就農相談に向かいます。当初は野菜の栽培などを想像していましたが、腰を落とさず高設栽培できるイチゴを作ろうと決意、そして多気町が委託する3名のイチゴ栽培サポートリーダーを紹介されます。令和5年3月に自衛隊を退職し、同年4月より令和6年3月まで一年間の研修期間を設定、令和6年4月からの独立を計画します。
素人だから自らを追い込む
「両親は公務員。全くの素人でした」と語る小童谷さん。3名のサポートリーダーからイチゴ栽培の作業内容を日々、頭と身体に刷り込むという状況に自身を追い込んでいきます。研修中、独立後のビジョンを描き、周囲と相談しながら相可地区に1反の土地購入とハウス4棟の建設をします。令和6年2月頃から育苗準備を進め4月から育苗を開始、予定通り新規就農者として独立を果たします。「今でもわからないことは“師匠”に教えてもらっています。また同世代の苺部会多気支部に所属する先輩農家さんとの情報交換も貴重な機会です」。義父も草刈りなど、いろいろと支援してくれていることに「本当に感謝しかありません」。
章姫がお気に入り
9月からいよいよ定植がスタート。“師匠”もひたむきな愛弟子が気になるようで「様子を見に来てくださいます。ありがたいですね」。品種を章姫にしたのは「手間はかかるけれど、色・形・味が好きだから」。これから迎える初めての収穫時期を義父母や妻、特に子どもたちが楽しみにしてくれているようで「手伝うよって。感激ですね」。毎日家族と過ごせることが当たり前となった今の状況に満足しながらも、初収穫に向けて作業に没頭する小童谷さんの挑戦はまだ始まったばかりです。
Photo:多気町 小童谷知樹さん 2024.11