人との繋がりが拡がりを生む ~多気町の若き経営者の挑戦~
イチゴ狩りを立ち上げた父を手伝う
多気町の河合良太さん(37)は、ミカンを中心に、お米や柿を栽培する農家に生まれました。10代の時に専門学校を卒業後、当時目指していた飲食業界に勤めるも、22歳の時にお父様が立ち上げたイチゴ狩りハウスを手伝うことを決意。祖父、父に次ぐ3代目として就農します。
ブルーベリーを任される
イチゴ狩りが繁忙となり、これなら1年中楽しめる場所にしようと10年程前からブルーベリー栽培を任されることになった良太さん。「当時は、祖父や父に一から教えてもらいました」と懐かしそうに語ります。いちご狩りは1月1日元旦から5月中旬頃までで終了し、ブルーベリーは6月から8月頃まで収穫できるとのこと。「ブルーベリーは日本に100種くらいあるなかで、ここには40種類を超える品種が揃っています」。収穫量は木の成長とともに年々増えていきましたが、台風被害で植え直しも。子どもたちにも安心して食べてもらえるようにと無農薬にこだわるも「その分手間がかかります」。また、昨年から猿の集団に食べられてしまい、今年も被害が発生し「本当に苦労が絶えない」。収穫体験分だけで、スマイルなどに出荷していた収量がなくなってしまったそうです。
一転する集客型
コロナ禍前までは、関西や名古屋、三重県北勢地区からのリピーターも多く、また、観光バスツアーや企業の福利厚生利用など好評でしたが、一転して顧客減少の憂き目に。回復の目玉が欲しいと種苗メーカーに相談したところ「ころたんメロン」を紹介され、アーチを描くように実をつけるメーカーの工場で見学した栽培方法をそのまま模倣することに。「アーチ状は日本初です」。リピーターも多く、1シーズンに5回来村される方も。皮の際まで食べられる品種のメロンですが、そのまま食べるイチゴとは異なり、同じ頃に始めた「農家ふぇ」で予め冷しておいたメロンを食べてもらう工夫も。三重県でメロン狩りは珍しく、人気の味覚体験のようです。
一年を通して楽しんで欲しい
平地で安心してミカン狩りも体験できる「五桂池ふるーつ村」。残念ながら今年は実施しないとのこと。今後の展望は「ブドウやイチジクも収穫体験できるようにしたい。また、子どもたちが遊べるようなスペースを造り、一日中ゆっくりと楽しむことのできるテーマパークのような場所にしたい」。最近、お兄様も加わることになり、兄弟で父からの事業継承を行なっていきたいとも語る良太さんの挑戦は、ここからが本番です。
Photo:多気町 河合良太さん 2024.09